2013年 集合知としての公園

井高 久美子

Art and Collective Intelligence

  • 会期:2013年7月6日(土)- 9月29日(日)
  • 会場:山口情報芸術センター[YCAM]、山口市中心市街地
  • 参加作家:タレク・アトウィ、コンタクト・ゴンゾ、ハックデザイン+リサーチ、平川紀道、ダフィット・リンク、ムン・キョンウォン

YCAMが2013年に開催した国際グループ展「art and collective intelligence」は、SNSやwiki、Linuxなどに代表される、コンピューターとネットワークの結合によって知のあり方が著しく変革させてきた「集合知」を題材に、今後、芸術表現が、社会・環境・思想・コミュニケーションのあり方とどのように関わり、そしてどのような変革が起こせるのかを考察した展覧会である。このグループ展に参加したムンは、この展覧会のコンセプトに基づき、古今東西の都市に共通して存在し、人為と自然が行き交う「公園」と集合知の関係を主題として選び、未来の公園を構想する作品「プロミス・パーク」を発表した。

未来の公園とは、どのようなものか? 大規模な破壊的自然災害が起こり、環境が変化した2070年の社会を仮想の舞台に、新たな環境条件下の都市において、公園がどのような姿になりうるのかを想像する。ムンはその過程で、建築家、景観設計家、植物学者とともにリサーチを行い、CGによる映像作品を制作し、地上と空中公園のビジョンを対比的に提示する映像インスタレーション作品を公開した。展示空間では、壁面に投影された巨大映像(4K撮影による実写映像)と、床面に投影された小型映像(CG映像)が、同期しながらリニアに展開した。実写映像では、未来の人間が持ちうる自然観を実写映像で表現。一方でCGでは、未来の都市空間の地表面には人間は存在せず、廃墟となったスカイスクレーパー同士が屋上で連結していく空間に新たな公共性が生まれるというビジョンを表現している。

井高 久美子
Kumiko Idaka

1982年生まれ。キュレーター。東京芸術大学大学院 映像研究科修了(修士)。映像表現を中心に、デジタルデバイスなどの開発に携わりながら、作品制作やワークショップを企画。2012年より現職。主な展覧会に「プロミス・パーク ─ 未来のパターンへのイマジネーション」(2015)、「MEDIA ART/KITCHEN 地域に潜るアジア:参加するオープン・ラボラトリー」(2014)などがある。近年はメディア技術の視点から、ローカルコミュニティと共に、地域資源のリサーチやプロジェクトの企画を行っている。